simple is the best

まずは次の観光地の説明を読んでください。

 

指南宮の俗称は「仙公廟」といい、孚祐帝君をまつっています。孚祐帝君は八仙の中の呂洞賓のことです。言い伝えによると仙公呂洞賓は仙人になった後、時おり人間界へやって来て、人々を迷いから導いたため、民間の信仰の中でとても人々と縁のある神様です。

jp.taiwan.net.tw

 

出典は台湾観光局のホームページですが、孚祐帝君や八仙、呂洞賓をご存じの方はどれだけおられるでしょうか。

何のことやら、さっぱりというのが本当のところではないでしょうか。

 

実はインバウンドの視点で見ると、このように受け手には分かりづらい表現や歴史的背景が結構あります。

例えば源頼朝は鎌倉幕府の開祖として超有名な歴史上の人物ですが、日本史の知識が少しでも分からないと、たちまちどの時代の何をした人物か分からず、迷子になってしまいます。

 

それでも「きっと分かるはず」「知っているはず」という方は一度小学生に説明して、その表情を観察してみてください。

多分難しい顔をされるのではないかと思います。

 

インバウンドの現場では、通訳や翻訳であれ、シンプルな表現でないとうまく伝わらないことが多々あります。

深い背景知識を必要とされるものはかえってありがた迷惑だったりもします。

 

シンプルに、そして小学生にも分かる表現が魅力発信の原動力になるかもしれません。

多言語表記の是非

訪日外国人が身近な存在になり、様々な場所で多言語表示を目にすることが増えました。

 f:id:Lima_Charlie:20181207111415j:plain

しかしそれは本当に必要でしょうか?

 

正直なところ、いろんな言語が並列されていて見にくい。

 

なぜ多言語表記を選択したのか。

翻訳された内容は簡潔化するなど、十分に吟味されているのか。

 

情報とは、必要な時に必要な事柄を速やかに取得できなければ、意味がないと思うので、使用シーンなどを想定して整備していくのが本当の意味で親切になるかもしれません。

ブラタモリから見えるもの

NHKの人気番組、ブラタモリ

f:id:Lima_Charlie:20181209024528p:image

実はあまり見ないのですが、観光業の視点で見ると、あれほどがっかりさせる番組はないです。

 

解説者はだいたいアカデミズム関係や地元に関係のある企業の人間。

そこに観光業関係者が出ているのをあまり見たことがありません。

 

地元にしっかりしたガイドがいるのなら、この番組に出演してもおかしくないのですが、それが少ないということはガイドに専門性がなく、その価値がないと暗に示しているのではないかと感じ、改めて誘客の難しさを感じます。

 

タモリ氏は地学にも造詣がある方なので、番組内でもそのネタがちょいちょい出てきますが、ジオパークに取り組んでいる地域などはこの番組のような演出や解説を目指すのも手かと思います。

 

地学そのものがニッチで分かりにくいためか、地形美や独特な地形による景観美に走ることがほとんどのように感じています。

果たしてジオパークの理念と符合するのでしょうか。

 

先にガイドのことを取り上げましたが、このようなニッチで分かりにくい観光素材こそ、専門的なガイドの育成が必要であり、またそのことが他に替えの利かない重要な資源となっていくと思います。

 

このような提言をすると、「タモリさんはプロだから」、「NHKは資金力があるから」などといったため息が聞こえそうですが、この瞬間にその地域は観光で稼げないこと、将来性がないことを自ら吐露してしまっていると私は感じざるを得ないのです。

正にフライヤー

催し物などで整然と並べられるパンフレット。

f:id:Lima_Charlie:20181209025429j:plain

そんなパンフレットの山を眺めながら、そして配りながら、思うことはただ一つ。

 

ごみ(になるもの)を無駄に生産して、消費しているなぁ

 

当事者はそんなつもりは微塵にも思っていないのでしょうが、お客さんの手に取られて、持っていかれたパンフレット。

それがその後開かれるのはどれくらいの確率なのでしょうか。

 

チラシ類のことをフライヤーと言うこともありますが、正にお金も資源もいずこかのブラックホールへflyしているのは皮肉でしょうか?

 

思うに使える情報、役に立つ情報を十分に提供できれば環境にも優しいパンフレットになると思います。

ITFの現場より

今年もITFに参加しました。

f:id:Lima_Charlie:20181129011137j:plain

ITFに参加する度にいろいろ思うことが出てくるのですが、今年は(今年も?)こんなことを思いながら、現場にいました。

 

・パンフレットの配布対象は誰か

・持ち込まれたパンフレットはどのような理由で選定されたのか

・同じく出展している旅行社の商品とリンクしているのか

・来場者に必要な情報を本当に提供できているのか

・旅行客の動きを把握しているのか

 

ITFはミクロ目線でインバウンドを考えられる、格好の現場なのですが、それを活かしきれない自分に歯がゆさを感じます。

ウチはいいところ?

観光プロモーションでよく聞く決まり文句があります。

 

ウチはいいところだから、ぜひ来てください。

 

判で押したようにフレーズを聞くので、こういうところほど伸びないだろうなと思ってしまいます。

 

天の邪鬼的に言うと、こんなツッコミをしたくなります。

・そんなにいいところなら、セールスする必要はないじゃないんですか?

・黙ってても観光客は来るんじゃないんですか?

・○○さんもウチはいいところってPRしてましたけど、どっちがいいんですか?

 

実際にどこがいいのかを詳しく聞いてみると、当たり障りのない回答であったり、実は曖昧だったりで、差別化できていないということがあったりします。

 

本当にいいところって.....

有名観光地とブランド米の語られ方

いつだったか、ブランド米があふれて、どれを選べばいいのかという報道がありましたが、それって今の観光をめぐる現状も同じだと感じました。

例えば...
(ブランド米)この○○はおいしいです
(有名観光地)ウチの○○はいいところです

どちらもおいしい、いいと言っていますが、その裏付けや詳しい説明がなかなか出てこないのが現状。

どのようなシーン(朝ご飯向き/ファミリー向き)や組み合わせ(和風のおかず/○○と○○を一緒に回った方がいい)など、具体的な提案なりが難しいのではないか。

皮肉な結論ですが、何にでもあうや多すぎる選択肢はかえって選択されない結果を生み、結局はどうでもいいっていうことになると思います。