アクセスからの当事者意識

旅行展のブースではお決まりのようにテーブルいっぱいに観光パンフレットが並びます。

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いくつか手に取ってみると、誰に対して情報を発信しているの?と首をかしげたくなるものが多いです。

そのようなパンフレットを手に取るうちに、中身を見ずとも自己満足の塊、あるいは将来性なしだと手に取るように分かる部分があると気づきました。

 

それはアクセス情報

 

判で押したように東京や大阪などの大都市(中国語でいうところの一線城市)からのアクセス情報が掲載されています。
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そしてその地域の中心となる駅から各観光地のアクセス情報、特に公共交通の情報が欠いているものが多々あります。
(車で〇分というのも腐るほどあるのですが)

 

旅行展の現場に立つと、公共交通を利用したアクセスや観光地間の移動に関する質問が大半を占めます。
空港からゲートウェイとなる交通拠点までのアクセス情報はいろんな形で簡単に手に入ります。一方でエリア内の移動、特に公共交通を使った移動に関する情報は非常に乏しいのです。

 

また訪日客の移動範囲はかなり広域です。

私見の限りでは、市町村レベルの観光課、観光協会の出展者は広域移動になると、手間取ることが多いようです。

観光客の動線や情報収集のあり方を考えると、大都市からのアクセス情報は大きな意味をなさないことが分かります。

またセールスの現場や行程設計の経験から、各観光地間の移動方法や所要時間の方が実用的です。

 

なぜ多くのパンフレットのアクセス情報が大都市からのアクセス情報を掲載され続けるのか。

昭和の団体旅行全盛時代の大都市からの送客という幻想、呪縛から断ち切れていないからではと思います。

時代の変化、消費者の嗜好の変化、すなわち消費者がよく見えていないので、このような時代遅れ・勘違い・観光客不在のアクセス情報が掲載されているのです。

そんなパンフレットの中身は発信者目線だけで構成されていると解釈しても、外れていないのではないでしょうか。

 

ちなみに海外のエージェント、消費者に対して、日本語そのままのパンフレットや安く仕上げたような意味不明の翻訳のパンフレットを配ること自体、論外の論外でしかないのですが。

予算などの関係というのも分かるのですが、観光立国としては大変お粗末ではないでしょうか。