イケてない営業

現場にいると、何のために来ているのという営業さんによく出くわします。

 

大まかにこの3タイプでしょうか。

 

・アポなし訪問[営業]

・表敬訪問的営業(とりあえず挨拶に来ましたとか)

・御用聞き的な訪問(最近の造成状況を教えてくださいとか)

 

こういう営業は表向き歓迎されつつも、本音レベルでは煙たがれていることがままあります。

特にアポなし訪問は忙しい時ほど迷惑がられます。

 

これらの特徴や共通項として言えるのは、相手のことが見えていないということに尽きます。

 

営業先を事前にリサーチしてきたかを問うと、「していません」という回答がほとんどです。

 

御用聞きも一見今後につなげるために、ニーズを的確に得るためだからいいだろうと思われるかもしれませんが、その後のフォローがないケースがほとんどです。

 

時間だけ取られて、そのフィードバックが少ないのが訪日旅行プロモーションの現状なのです。

 

旅行社はそれぞれ同じように見えても、顧客層や商品内容に微妙な違いがあります。

そこを踏まえないと、成果に反映されなかったりと、無駄足を踏むことになります。

 

営業は無駄足を踏んでこそ、という考え方もありますが、私自身はそれはバブル期までの考え方であり、これだけITが発達し、事前に営業先をリサーチすることが可能な現代においては周回遅れな営業方法のようにも映ります。

 

営業先の特徴を捉えて、それにあわせた提案をする

課題があれば、それに対するソリューションを提案する

 

そんなごく基本的な営業がアフターコロナでは特に求められているように思います。

いいね!を集めた先

イベントでよく見られる、自分たちのfacebookへのいいねを押してもらうキャンペーン。

 

 正直なところ、いいねを集めることが目的化していないでしょうか?

 

いいねをたくさん押してもらうことは多くの人にFacebookを通じて自分たちの地域の情報を発信するための手段の一つのはずです。

 

しかしそのFacebookの内容はというと、国内旅行、どうにか周辺自治体でしかニーズがなさそうな、いわゆる町ネタレベルのもので埋められたりします。

例えば明日イベント開催です、みなさん来てくださいなど、海外の人に対して、明日来てくださいと言わんばかりの筋違いの情報が発信されたりします。

みなさんは逆の立場に立った場合に、じゃあ明日そのイベントに行くことはできますか?しかも海外へ。

 

そんな情報は意味があるのでしょうか?

そしてそんな情報を多くの人に受け取ってもらうためにいいねをたくさん集めているのでしょうか?

 

必要なのはコンテンツの充実であり、受け手をしっかり想定したコンテンツ作りではないでしょうか?

残念なパンフレット

旅行展や商談会でブースをにぎわすのが出展者のオススメを盛り込んだパンフレット。

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勉強のためにいろいろ手に取るのですが、デザインや写真はいいのにどことなく違和感のあるパンフレットが意外に多いのです。

 

その違和感の理由は単純に「翻訳の問題」だったりします。

 

具体的に言うと、直訳に近い翻訳がパンフレットの誌面を飾っているのです。

 

よく見られる翻訳は原文を直訳、逐語訳に留まるようなものが多く、訴求相手や読者がどのような人間なのかを想定していないかのような翻訳が多々見受けられます。

全てではないでしょうが、留学生や価格の安い翻訳会社に依頼することが多いようです。

留学生の翻訳は経験数からか逐語訳や日常会話レベルの翻訳に偏りやすく、感覚としては学生さんがビジネス文章を書いているかのような稚拙さを感じるようなイメージでしょうか。(もちろん全てではないですが)

 

ちなみに本職の翻訳さんは訴求相手や使用される場、TPOをまず確認すると聞きます。

 

予算の都合などの都合もあるかと思いますが、ビジネスレベルの文章を読み書きできる翻訳さんやネイティブチェックなど多重チェックのある翻訳会社に依頼する方が比較的安全かもしれません。

 

パンフレットはすぐに死蔵、廃棄されてしまうことが普通ですが、日本のパンフレットはデザインや写真がいいものが多いので、こなれていない翻訳があるのは画竜点睛を欠くのような感じで、本当にとても残念でなりません。

アクセスからの当事者意識

旅行展のブースではお決まりのようにテーブルいっぱいに観光パンフレットが並びます。

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いくつか手に取ってみると、誰に対して情報を発信しているの?と首をかしげたくなるものが多いです。

そのようなパンフレットを手に取るうちに、中身を見ずとも自己満足の塊、あるいは将来性なしだと手に取るように分かる部分があると気づきました。

 

それはアクセス情報

 

判で押したように東京や大阪などの大都市(中国語でいうところの一線城市)からのアクセス情報が掲載されています。
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そしてその地域の中心となる駅から各観光地のアクセス情報、特に公共交通の情報が欠いているものが多々あります。
(車で〇分というのも腐るほどあるのですが)

 

旅行展の現場に立つと、公共交通を利用したアクセスや観光地間の移動に関する質問が大半を占めます。
空港からゲートウェイとなる交通拠点までのアクセス情報はいろんな形で簡単に手に入ります。一方でエリア内の移動、特に公共交通を使った移動に関する情報は非常に乏しいのです。

 

また訪日客の移動範囲はかなり広域です。

私見の限りでは、市町村レベルの観光課、観光協会の出展者は広域移動になると、手間取ることが多いようです。

観光客の動線や情報収集のあり方を考えると、大都市からのアクセス情報は大きな意味をなさないことが分かります。

またセールスの現場や行程設計の経験から、各観光地間の移動方法や所要時間の方が実用的です。

 

なぜ多くのパンフレットのアクセス情報が大都市からのアクセス情報を掲載され続けるのか。

昭和の団体旅行全盛時代の大都市からの送客という幻想、呪縛から断ち切れていないからではと思います。

時代の変化、消費者の嗜好の変化、すなわち消費者がよく見えていないので、このような時代遅れ・勘違い・観光客不在のアクセス情報が掲載されているのです。

そんなパンフレットの中身は発信者目線だけで構成されていると解釈しても、外れていないのではないでしょうか。

 

ちなみに海外のエージェント、消費者に対して、日本語そのままのパンフレットや安く仕上げたような意味不明の翻訳のパンフレットを配ること自体、論外の論外でしかないのですが。

予算などの関係というのも分かるのですが、観光立国としては大変お粗末ではないでしょうか。

宝の持ち腐れ

今年のITF

日本館はgoogleアンケートが多かったように思います。

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いくつかアンケート調査に参加してみたところ、首を傾げるような内容が見受けられました。

またこの設問は何を目的として問うているのだろうというものもママ見受けられました。

 

アンケート調査は基本的に現状把握や課題の洗い出し、次のステップへの仮説設定などに供するものですが、どうも現状や課題が見えていないと思わざるを得ないようなものが多い。そんな実施者の観光業への姿勢が設問や構成から透けて見えてきます。

 

ちなみに調査結果の活用も聞いてみましたが、想像以上にボヤッと、不透明な回答が多かったです。

 

アンケート調査は設問内容や構成を十分に練れば、まさに宝の山です。

戦略的なアンケート調査、やれていますか?

おもて、なし

日本はおもてなしの国

 

これは嘘だと思っています。

 

日本はおもて、なしの国

 

これだったら、納得です。

 

観光の現場に立つと、エンドユーザーの関心や満足度を高めるということよりも、自分たちのやりやすさが先に立つことがまま見受けられるのです。

 

お客様ファーストではなく、自分ファーストだったりするのです。

 

台湾という日本人の想像上の理想郷に立つと、これがしばしば透けて見えるのです。

 

まさにお客様に向ける「おもて(面)」がない国、それが日本なのです。

プレシャスな勘違い

先日ハイエンド向けツアーに関する相談を受けました。

アイテナリーを見せてもらいましたが、珍しめの体験やいかにもお金持ち向け的なネタがちらほら…

 

本物の富裕層とは未だお会いしたことがありませんが、モノの本を読む限り、額面云々よりも価値そのものを重視する人が多いような気がします。

 

翻って観光産業を見てみると、価値を生む、価値を高めるというベクトルへ振れていないにような気がします。

 

ある表敬訪問で我が町は○○の生産量日本一と挨拶したところ、二位はどこか尋ねられて、固まってしまったという笑うに笑えない現場を見たことがありますが、実は似たような問題が観光の現場の至るところで内在しています。

 

PRしている本人が実は自分がPRしているものの価値を十分に理解していないことがままあるのです。

そのような現場で、真の富裕層をターゲットに置いたプロモーションはどのような結果を生むのか。

 

私に喧しい不協和音しか聞こえてきません。

 

単価が高ければいい、物珍しければいいという金額で価値を測る時代はすでに去りつつあり、額面に捕われず、価値そのものを測る時代が始まっています。

 

価値の創造と向上

 

これからの観光産業に必要な観点はこれかもしれません。